セキュリティの世界で毎年注目される、IPA(情報処理推進機構)の「情報セキュリティ10大脅威」。その2026年版で、「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めてランクインしました(組織向け脅威の3位・2026年1月発表)。
1位のランサムウェア、2位のサプライチェーン攻撃は4年連続の常連です。そこにAIがいきなり3位で割り込んできた——国の機関が「AIのリスクは、もう他人事ではない」と公式に言った、ということです。
出典:IPA プレス発表「情報セキュリティ10大脅威 2026」
1. 「うちみたいな小さい事業は関係ない」が、いちばん危ない
こう思った方がいるかもしれません。「それは大企業の話でしょう?」
残念ながら、逆です。攻撃の多くは自動化されていて、規模に関係なく無差別に届きます。むしろIT担当者がいない小さな事業ほど、「気づく人がいない」という弱点を抱えています。
そして幸い、この記事で扱うAIのリスクは、高い機械や難しい設定の話ではありません。日々の使い方の話です。つまり、ひとりでも今日から守れます。
2. IPAが挙げた3つのリスクを、毎日の仕事に翻訳する
IPAが想定するリスクは大きく3つ。それぞれ、私たちの日常に置き換えてみます。
①よく分からないまま使って、情報が漏れる
たとえば、顧客名簿や見積もりの数字をそのままAIに貼り付けてしまう。設定によっては、入力内容がAIの学習に使われる場合があります。「入れていいもの・ダメなもの」の線引きを決めていないことが、いちばんの穴です。
②AIの答えを、確認せずにそのまま使う
AIは時々、自信満々に間違えます。その数字を請求書に、その文面を契約書に、確認なしで流し込むと、間違いがお客様に直接届きます。
③AIを使った攻撃が、あなたに届く
これが2026年の新しい変化です。AIのおかげで、詐欺メールの日本語が自然になりました。「怪しい日本語だから分かる」という昔の見分け方は、もう通用しません。
3. 今日からできる、3つの守り
対策も3つだけに絞ります。全部、お金はかかりません。
①「AIに入れないもの」を決めて、紙に書いて貼る
顧客の氏名・連絡先、口座やカードの番号、取引先との未公開の話。この3つを「入れないリスト」にするだけで、①のリスクは大きく減ります。
②お客様に出るものは、必ず自分の目で最終確認
AIの下書きは便利に使ってOK。ただし金額・日付・名前の3点だけは、送る前に自分で確かめる。これを習慣にします。
③「急がせるメール」は、いったん閉じる
「本日中に」「アカウントが停止されます」——急がせるのは詐欺の定番です。文面がきれいでも、まず疑う。送信元に、別の手段(電話など)で確かめるのが確実です。
4. ひとり事業の意外な強み——決めるのが速い
最後に、前向きな話を。
大企業がAIのルールを作るには、会議と稟議で何ヶ月もかかります。ひとりで営む事業なら、今日決めて、今日から守れます。IT部門がないことは弱点ですが、決断の速さは大企業にない強みです。
上の「3つの守り」は、全部あわせて15分もあれば始められます。国が「AIのリスクは3位」と言ったこのタイミングで、15分だけ時間を取ってみてください。
AIとの安全な付き合い方は、AIリテラシー6箇条の記事でも詳しく解説しています。「うちの場合はどこまで入れて大丈夫?」という個別のご相談は、無料相談でどうぞ。